滋賀県高島郡朽木村運用記
秋田県クリア 1Day-AJD達成
(朽木村は2005年1月1日に高島市になり、滋賀県内の村は無くなりました。)

 6月7-8日に、月末の430SSBメーリングリスト主催DXチャレンジデーでの運用予定地、滋賀県高島郡朽木村へテスト運用に行ってきました。高島郡といえば、琵琶湖西岸からの湖面反射を利用した運用で、東方面には良好な場所がありますが、敢えて琵琶湖から山ひとつ越えた朽木村を選びました。
 朽木村の位置はここです→ http://www.mapion.co.jp/html/map/web/admi25.html
 朽木村は四方を山に囲まれた谷間の村で、とても430MHzの電波が飛ぶような場所ではありませんでした。
昨年にロケーションハンティングに訪れた時に、建設中の林道を見つけて以来何度か運用を行いましたが、林道の建設が進みましたので新しい運用ポイントを求めることが目的です。

 同行者は毎度の事ながらJJ3JHP永瀬さん。今回は144MHzでの運用も行うことにしました。滋賀県側の林道は未だに建設中で通行止めの可能性があるので、既に完成している福井県側から登ることにして、2台のデリカで出発をしました。福井県側の林道に崖から崩れ落ちている岩を避けながら、それでもFMで馬鹿話をしながらグングンと登って行きました。やがて切り通しの峠に到着し、滋賀県側に少し下ったところをみると、案の定通行止めのための車両が道を塞いで止めてありました。

 そこで、今回は切り通しの西側の崖の上にアンテナを設置することにしました。崖の上に資材を担ぎ上げて、タワーにマストを取り付けてアンテナを組み上げている時に現場監督らしき人が近づいてきました。こちらは、『工事中、立ち入り禁止』の看板を無視して登って来た身である。何を言われるのかと一瞬身構えました。

 以下、崖の上と下の会話。
監督「何をしているのですか?」
私達「無線のアンテナを建てています。」(アマチュア無線といわないところがミソです。)
監督「そこは記念碑を建てる予定になっているんだが・・。」
私達「今日と明日だけですから終わったら撤去します。」
監督「それなら構いません。」
先ずは一安心。
その後、林道の開通式を9月に予定していることや、ここの峠の崖をもう少し削って記念碑を建てることなどを聞きました。
私達「ところで、今月末にまたここに来るのですが、その時に滋賀県側から来ることができますか?」
監督「多分大丈夫だと思うが、念のために電話をください。」
ということで、監督の携帯の電話番号を教えて貰いました。

既に完成している福井県川の林道

手前144MHz、奥430MHz
 ここの地形は東西に伸びる尾根の低くなった地点であるので、東西方向の伝搬が気になるところです。
アンテナを設置して一休みしている時にモービルで福井県坂井郡移動のJE9VWK北村さんと交信。
 昼食後、移動設備で宮城県古川市移動のJK7WIG宍戸さんと交信。QSBが大きい。
そして、2エリアの局に声をかけた後に徒歩で付近の偵察に出かました。
 先ほど道を塞いでいた車両は移動していたが、その先に丸太を置いて林道を遮断している。丸太を乗り越えて尾根と平行に進んでいる林道を先に進むと、尾根に登ることが出来そうな場所を見つけたので、登ってみることにしました。かなり急な道でしたが、登ること5分で尾根のピークに着きました。そしてそこは360度の遮るものがない素晴らしい景観が待っていました。ここにアンテナ設備を担ぎ上げて運用することも検討材料にして運用場所に戻りました。

 北ビームでワッチをすると、宮城県古川市移動のJL7HIE佐々木さんがラグチュウしているのが59で聞こえました。思わずブレイクを入れて「こんなに良く来ているのだからCQを出さなければもったいないよ。」と言ってやりました。QSBを伴うもののかなりはっきりと聞こえ、あちこちから声が掛かっている様子でした。
 1エリア方面にビームを向けましたが、何も聞こえません。やはり東側の尾根が邪魔をしているのでしょうか。その後雷を伴う大粒の雨が降ってきたのでしばし休憩をとりました。
 
 やがて雨は上がったものの風は止まず、ターフがあおられているのでたたみました。
 夕刻からCQを出すも、応答は3エリアのみで他はさっぱりでした。秋田県で唯一未交信の大館市の移動情報があったのでひたすら聞こえて来るのを待つことにしました。ワッチ周波数にJA9FSO小森さんとJG4ILD小原さんの声が聞こえて来ましたので、皆で北にアンテナを向けることにするも大館市は聞こえてきません。やがて新潟市のJG0SUV安達さんの声が聞こえ、大館市を呼んでいる様子。他に何局かいる様子で1エリアに向いていた大館市のアンテナをこちらに向けていただきました。そして、各局のご協力のおかげで大館市と交信で秋田県をクリアすることができました。これで本州の未交信地は岩手県の1市、青森県の3市4郡のみになりました。
 気を良くしてこの日の運用は終了。永瀬さんはすでに寝ている様子。私も早めにシュラフに潜り込みました。

 翌朝は5時に目が覚めてしまいました。天気は快晴、下界は谷間を雲海が覆い尽くして、海抜800mの非常に気分の良い朝を迎えました。昨日畳み込んだターフを張って環境を整えます。車の窓はフルオープンにしました。
朝食の後、144MHzで北海道松前郡と交信をしました。フルスケールで聞こえていました。「430MHzでQRVしている局がいれば聞こえるのになあ」と少々複雑な気がしました。
 その後岡山県赤磐郡移動のJJ4XVM福島さんに声をかけましたが、バックに福岡県豊前市のJJ6RAF岩永さんが居るとのことで、ビームを向けるが西方面も尾根に遮られているので芳しくなく、結局東向けでビームの交信となった。続いて阿蘇郡移動のJN6BAI石橋さんとも東向けビームの交信をしました。
 9時の1エリアとのスケジュールが始まるまで、あちこちと交信をしていましたが、1エリアとの交信は依然としてありません。そのうちなんてことか9時前に眠ってしまい、永瀬さんに10分過ぎくらいに起こされました。
 あわてて1エリアを呼びますと7K2CTX斉藤さんから応答がありました。「呼んだのに応答がないから居ないか思った。」と言われてしまいました。その後1エリア各局と交信しましたが、だめだと思っていた1エリアもそこそこいけるということがわかりました。
 スケジュールが終わったとき永瀬さんがやって来て、「144MHzで交信した8エリアの局が430MHzで待っている」とのことでしたので、8エリア向けに声を出し、JG8XCX早瀬さん、JH8BDV清水さんと交信しました。楽々モードの59-59でした。
 ここで、5エリアと0エリアと交信をすればAJDが完成することに気がつきました。昨日新潟の安達さんとリポート交換をしておけばよかったと悔やまれましたが、さすが安達さんです、新潟県南蒲原郡移動のJGOSUV安達さんをGETすることができました。残りは5エリアです。某局との交信を試みましたが、コールサインは取れたもののレポートが届かず交信不成立。地元の栗東市であればモービルホイップでも交信ができる5エリアとの交信をこんなに苦労するとは・・・。しかし、救いの神、徳島県板野郡JA5DZI市原さんと無事交信をすることができました。
これでめでたくAJDが完成しました。永瀬さんも144MHzで完成したようです。あちらはなんと1エリアが最後まで残ったようです。

 思いもかけずAJDが完成しましたが、目的はDXチャレンジデーの場所探しです。このポイントは良いのか悪いのか。
・8エリア方面に対しては、これまで最高と思われていた坂田郡の伊吹山1,300mよりもベターではないかと思われます。
・1エリア方面は思いの他良かったようですが、北関東から福島あたりはわかりません。
・宮城県以北は問題ないのではないかと思います。
・問題は西方面です。鳥取、島根は問題がありませんが、その他は四国の一部までが自身の尾根に遮られています。
 散歩で登った場所で運用できれば、360度の展望なのですが、はてさてどうしたものかと思案中です。